ベアリングを取り外すためには、「ベアリングプーラー」と呼ばれるSST(特殊工具)を使用します。ベアリングの種類や固定方法によって使用するベアリングプーラーが異なりますので、ベアリングプーラーの選定とベアリングプーラーの使い方をご紹介します。
ベアリングを取り外すツールの選定
ベアリングを取り外す際、まずは対象となるベアリングの固定方法を確認します。ベアリング固定方法は、主に下記3種類です。
1. ベアリングの外径部分を圧入して固定
2. ベアリングの内径部分を圧入して固定
3. ベアリングの外径部分と内径部分の両方を圧入して固定
バイクのクランクケース内ベアリングは、ほとんどが上記1の方法で固定されています。よって、クランクケース内ベアリングを取り外す場合は、ベアリングの内径部分にツールを引っ掛けて抜き取るツール(「パイロットベアリングプーラー」と呼ばれています)を選定します。
ベアリングの内径部分にツールを引っ掛けて抜き取るツールは、主に下記3種類あります。
1. パイロットベアリングプーラーセット
【特徴】
ベアリング内径ごとにアダプターが用意されている。
【利点】
- ベアリングプーラーをベアリング内径部分にしっかりと引っ掛けることが出来る。
- ベアリング内径部分が筒抜けになっていない場所(参照:2枚目画像内の赤色破線部分)に装着されているベアリングでも取り外すことが出来る。
- ニードルベアリングも取り外すことが出来る。
【欠点】
価格が高い。
2. 汎用型パイロットベアリングプーラー
【特徴】
指定された範囲内(例えば、12mm-38mm)のベアリング内径に対応可能。
【利点】
- 一つのツールで、内径が異なるベアリングを取り外すことができる。
- 価格が安い。
【欠点】
- ベアリング内径部分を引っ掛けるツメが外れやすいため、強く圧入されているベアリングは取り外しにくい。
- ベアリング内径部分が筒抜けになっていない場所に装着されているボールベアリングや、ニードルベアリングは取り外すことができない。
3. 自作パイロットベアリングプーラー
【特徴】
ホームセンターで簡単に入手できる部材(ソケット、ボルト、ナット、ワッシャーなど)を用いて、パイロットベアリングプーラーを製作する。
【利点】
- 太いボルトやナットを使用することで、強く圧入されたベアリングも取り外すことができる。
- ホームセンターで必要な部材が入手できる。
- 価格が安い。
【欠点】
- 汎用的な部材の組み合わせのため、使用可能な場所が限定される。
- 使いこなすために、コツをつかむ必要がある。
連載動画・記事
#01 パイロットベアリングプーラーセットでベアリングを取り外す [3:58]
#02 汎用型パイロットベアリングプーラーでベアリングを取り外す [3:22]
#03 自作ベアリングプーラーとガスバーナーでベアリングを抜く [5:42]