ツーリング時のトラブル対応のため、ツールと応急処置用品を持参したいが何を持って行けばいいのか悩むことはありませんか? 今回は、大部分のバイクメンテナンスを自分で行っている方がツーリング時に持参した方がいいツールと応急処置用品をご紹介します。
ツーリング時の持参品を選定する際のポイントは、バイクメンテナンスに関する自分の技術レベルに合ったツールや応急処置用品を選定することです。自分の技術レベルを知りたい方は「ツーリング時にこれだけは持参したいツールと用品の選定方法」記事を事前にご覧ください。
この記事の閲覧対象者
この記事は大部分のバイクメンテナンス(ホイールベアリング交換、キャブレターのオーバーホール、エンジンピストン交換など)を自分で行っている方を対象としています。
この記事で説明しているトラブル対応方法が難しいと感じられる方は、もっと簡単な方法をご紹介している「#01 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル1編」記事や「#02 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル2編」記事をご覧ください。
自分で対応するトラブルと必要なツール及び応急処置用品
自分で対応するトラブルとして以下のようなトラブルを想定することで、持参した方がいいツールと応急処置用品を適切に選定することができます。
レベル1編でご紹介したトラブル対応方法
下記のトラブル対応方法と必要なツール及び応急処置用品は「#01 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル1編」をご参照ください。
- 燃料がなくなった(ガス欠)
- 発熱によりクラッチの遊び量が変化した
- ペーパーロック現象が生じた
- ウインカーカバーが割れた
- ウインカーステーが折れた
- ナンバープレートベースが外れた
- 転んで擦り傷ができた
レベル2編でご紹介したトラブル対応方法
下記のトラブル対応方法と必要なツール及び応急処置用品は「#02 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル2編」をご参照ください。
- プラグが被った
- アクセルスロットルが引っかかった
- 冷却水がなくなった
- ブレーキオイルが漏れ出した
想定トラブル:バンクした
【トラブル対応方法】
パンク修理する。
オフロードバイクのパンク修理方法は「これで長距離ツーリングも安心!オフロードバイクのパンク修理」をご覧ください。また、オフロードバイクのリヤタイヤを取り外す方法は「オフロードバイクであれば自宅で簡単にできる!タイヤ交換方法」をご覧ください。
【必要なツール】

【必要な応急処置用品】

想定トラブル:水没した
※ オフロードバイクで水没した場合を想定
【トラブル対応方法】
(1) 燃料タンクとプラグを外しバイクを逆さまにしてクランクケース内の水とエンジンオイル(4ストバイクの場合)を抜く。水とエンジンオイルを抜いた後は、新品のエンジンオイルを注入する。
(2) エアクリーナーエレメントを取り出して、エアクリーナーエレメントを絞って水分を取り除き(湿式エアクリーナーの場合)、天日干しする。
(3) キャブレターにも水が侵入している可能性があるため、キャブレターのドレインボルトを緩めてキャブレター内の水をすべて抜く。その際、燃料コックは閉じる(OFFにする)こと。
なお、オフロードバイクの湿式エアクリーナーエレメントを取り外す方法は「バイクの燃費が悪くなったらすぐに実施!湿式エアクリーナーの交換」をご覧ください。
【必要なツール】



※ ソケットレンチとブレーカーバー(スピンナハンドル) は、燃料タンクを取り外すために使用します。燃料タンクを外すためにはブレーカーバーよりもラチェットハンドルの方が使い勝手がいいのですが、持参するツールを減らすために足回りの作業(高トルクを必要とする作業)にも使用できるブレーカーバーを選択しています。
※ プラグレンチは車載工具に入っている可能性があります。
【必要な応急処置用品】

想定トラブル:クラッチワイヤーが切れた
※ クラッチワイヤーのニップル(タイコ)部分が切断した場合を想定
【トラブル対応方法】
(1) クラッチワイヤーを取り外す。その後、ニップル(タイコ)部分が切断した部分をほぐした上で、クラッチワイヤーの先端部分を持参したワイヤー(針金)でぐるぐる巻きにし、ニップル(タイコ)に近い形状にする。
(2) クラッチレバーを取り外し、加工したクラッチワイヤーを装着する。
【必要な応急処置用品】

想定トラブル:アクセルワイヤーが切れた
※ アクセルワイヤーのニップル(タイコ)部分が切断した場合を想定
【トラブル対応方法】
(1) アクセルワイヤーを取り外す。その後、ニップル(タイコ)部分が切断した部分をほぐした上で、アクセルワイヤーの先端部分を持参したワイヤー(針金)でぐるぐる巻きにし、ニップル(タイコ)に近い形状にする。
(2) アクセルスロットルを取り外し、加工したアクセルワイヤーを装着する。
【必要な応急処置用品】

想定トラブル:ウインカーが点灯しなくなった
※ 電線の断線により点灯しない場合を想定
【考えられる原因】
路面やエンジンからの振動によりバルブ(電球)内のフィラメントが切れた。ウインカーランプ内に水が侵入したため、発熱しているバルブが急激に冷却されることでバルブが割れた。
【トラブル対応方法】
(1) 切断した電線を接続する。(2) 電球を交換する。
※ ウインカーランプ用バルブ(電球)が壊れた場合は、予備バルブを持参していないと対応できません。
【必要なツール】

【必要な応急処置パーツ】

想定トラブル:ヘッドライトが点灯しなくなった
【考えられる原因】
路面やエンジンからの振動によりバルブ(電球)内のフィラメントが切れた。ヘッドライト内に水が侵入したため、発熱しているバルブが急激に冷却されることでバルブが割れた。
【トラブル対応方法】
切断した電線を接続する。(注意:電線の断線により点灯しない場合を想定)
※ ヘッドライト用バルブ(電球)が壊れた場合は、予備バルブを持参していないと対応できません。
【必要なツール】

【必要な応急処置パーツ】

想定トラブル:チェーンが外れた
【考えられる原因】
チェーンの遊び量調整が不適切だった。オフロードバイクの場合は、チェーンやチェーンガイドが障害物に当たってしまった。
【トラブル対応方法】
チェーンが巻き込まれていない(簡単に取り外せる)場合は、リヤタイヤを取り外してチェーンを装着する。チェーンが巻き込まれている場合は、リヤタイアやスイングアームなどを取り外しチェーンを取り出した上で、チェーンを装着する。
なお、チェーンの取り外し方や装着方法は「ギヤ比を変えて加速力アップ! チェーンとスプロケットの交換方法」をご覧ください。
【必要なツール】


※ 足回りを整備するためには高トルクに耐えうるツールが必要です。よって、通常はめがねレンチ(ボックスレンチ)を用いるのですが、めがねレンチを数本持参すると重くかさばるため、ソケットレンチとブレーカーバー(スピンナハンドル)の組み合わせ方が携帯しやすいかと思います。
想定トラブル:チェーンが切れた
【対応方法】
チェーンクリップを使用してチェーンを接続する。
【考えられる原因】
チェーンリンクの一部が破損した。チェーンクリップが障害物に当たって外れた。
【必要なツール】

※ チェーンリンクを装着する場合は通常プライヤーを使用しますが、バイスグリップの方がその他のトラブルにも対応しやすいため、ここではバイスグリップを選定しています。
【必要な応急処置用品】

想定トラブル:ラジエーターホースがひび割れた
【考えられる原因】
ラジエーターホースの劣化
【トラブル対応方法】
ひび割れているラジエーターホースに万能粘着テープ(ダクトテープ)を巻き、その上からホースバンドで締め付ける。
【必要な応急処置用品】


想定トラブル:ギヤが変速できなくなった
【考えられる原因】
シフトレバーが折れた/なくなった(注意:ミッションが欠けたなどミッション自体のトラブルの場合は、ツーリング先でトラブル対応することは難しいかと思います。)
【トラブル対応方法】
バイスグリップでシフトレバーを代用する。バイスグリップをシフトレバー取り付け部分に装着した後、バイスグリップが外れないようにワイヤー(針金)やタイラップで固定する。
【必要なツール】

【必要な応急処置用品】


持参した方がいいツール及び応急処置用品(まとめ)
【必要なツール】
「#01 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル1編」で選定した必要なツール。
車載工具(もしくは同等品)
※ 車載工具を使用する頻度が多くなってくると、車載工具の質が気になってくるかと思います。一般的に、車載工具は質よりもコストを重視しています。よって、車載工具の質では不十分だと感じる方は、車載工具と同様(例えば、12mmと10mmのスパナ)でなおかつ質の高いツールに入れ替えることをオススメします。
「#01 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル2編」で選定した必要なツール。





この記事で選定した必要なツール。






【必要な応急処置用品・パーツ】
「#01 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル1編」で選定した必要な応急処置用品。





「#02 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル2編」で選定した必要な応急処置用品。

この記事で選定した必要な応急処置用品・パーツ。









関連ページ
ツーリング時にこれだけは持参したいツールと用品の選定方法
#01 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル1編
#02 ツーリング時のトラブル対応方法と持参品 レベル2編