片押し式ブレーキキャリパーは、バイク車体との間に挿入されているブーツの弾性により元の位置に戻されます。キャリパーピストンは、ブレーキキャリパーとの間に挿入されているピストンシールの弾性により元の位置に戻されます。
ホンダ CRM250R(R)
動作原理
事前理解 : 変形したゴムは元の形に戻ろうとする
ゴムに力を加えると変形しますが、同時に元の形に戻ろうとする力が発生します。その結果、ゴムに加えられていた力がなくなるとゴムは元の形に戻ります。
すべての固体材料は、変形が一定の範囲(弾性範囲内)では、変形しても元に戻る、つまり弾性を示す。
[引用] Wikipedia:弾性
Step 1 : 片押し式ブレーキキャリパーはブーツが引き戻す
片押し式ブレーキキャリーパーの場合、ブレーキレバーもしくはリヤブレーキペダルを緩めるとキャリパーピストンを押し出す圧力が減少します。そうすると、片押し式ブレーキキャリパーとバイク車体の間に取り付けられているゴム素材のブーツが元の形に戻ろうとするため、片押し式ブレーキキャリパーにも元の位置に戻そうとする力が発生します。
その結果、片押し式ブレーキキャリパーが元の位置に引き戻されます。
Step 2 : キャリパーピストンはピストンシールが引き戻す
ブレーキレバーもしくはリヤブレーキペダルを緩めると、キャリパーピストンを押し出す圧力が減少します。そうすると、ブレーキキャリパーとキャリパーピストンの間に装着されているゴム素材のピストンブーツが元の形に戻ろうとします。そうすると、キャリパーピストンをキャリパー内部に引き込む力が発生し、キャリパーピストンが元の位置に引き戻されます。
なお、ブレーキキャリパーに装着されているブーツやピストンシールが熱やブレーキオイルなどの影響で劣化すると、元の形に戻ろうとする力が弱まったり元の形に戻らなくなり、ブレーキ引きずりが生じることがあります。また、ピストンシールが硬化してしまうと適切に変形しなくなるため、ブレーキキャリパーとピストンシールの間に隙間が出来てしまい、ブレーキオイルが漏れ出すこともあります。
このようなことから、ブレーキが適切に利く状態を保つためには、定期的にブレーキキャリパーやマスターシリンダーをオーバーホールする(分解し内部清掃するとともに、劣化している部品を交換する作業を行う)ことをオススメいたします。
点検整備項目
マスタ・シリンダ、ダストシール及びディスク・キャリパのゴム部品の交換:2年毎
[引用] ホンダ CRM250Rのサービスマニュアル