1機目中古エンジンはブローした形跡があり、トランスミッションが破損していました。新品パーツは数万円かかるため、部品取りのための2機目中古エンジンをオークションで入手しました。今回はこのエンジンの腰上部分について、状態を確認していきます。
2機目中古エンジンの状態確認
入手した中古エンジンの型式
CRM250Rは、製造年の違いによって1型から4型までの4種類があり、それぞれ車体やエンジンの設計が若干異なります。私が使用しているCRM250R(R)は4型(車体番号:MD24-140****)ですので、今回入手した2機目中古エンジンも4型を選びました。
シリンダーヘッド
シリンダーヘッド内部には、カーボンがびっしりと付着しています。ガスケットの固着状態などから、このエンジンは長期間オーバーホールされていない、もしくはオーバーホールされたことがないエンジンかと思われます。
長期間オーバーホールしていないエンジンの場合、このようにカーボンが付着しているのはよくあることですが、このような状態ではノッキングなどの異常燃焼が発生しやすくなります。
よって、このシリンダーヘッドを組み付ける前に、カーボン除去剤などでカーボンを取り除きます。
ピストン
ピストン側面を排気側(チャンバーが付いている側)から確認したところ、ピストン側面に若干の擦り傷が見られますが、傷は浅いので耐水ペーパーで傷を修正するだけで再利用できそうです。
ピストンの下にあるクランクシャフトは、表面が少し錆びています。この程度であれば、サビ取り剤や耐水ペーパーなどである程度サビを落とすことができるので、クランクシャフトを取り出した後にサビ取りを行う予定です。
シリンダー
排気デバイス
2ストロークエンジンには、エンジン低回転時のトルクを高めるために、可動式の排気デバイス(注釈:CRM250Rのパーツリストでは「フラップバルブ」と呼ばれています)がよく採用されています。この排気デバイスは、シリンダーの排気ポート(燃焼後の排気ガスを排出するための穴)付近に設置され、エンジン回転数などに応じて回転することで、排気ポートのサイズを変えます。
排気デバイスは、排気ガスの通り道に設置されているため、カーボンが付着しやすいパーツです。カーボンが付着したままだと排気デバイスが可動しなくなることがあり、可動しなくなるとエンジン低回転時のトルクが低下します。
また、可動しない排気デバイスをサーボモーターで動かそうとするため、サーボモーターやサーボモーターを制御するコントロールユニット(注釈:CRM250Rの場合は「PGM」と呼ばれています)に設計想定外の負荷がかかり、破損してしまう可能性があります。
このようなことから、排気デバイスのカーボンは定期的に除去することが非常に重要です。
次回の作業では、2機目中古エンジンの腰下部分(クランクケース内パーツ)について状態を確認していきます。