CRM250Rのクランクケース内部パーツを調べたところ、状態がよく交換や加工を必要としないパーツもありました。よって、それらのパーツを選定するとともに、各パーツのどの部分について状態を確認すればよいのかをご紹介いたします。
状態がいいパーツの観察
ウォーターポンプシャフト
CRM250Rの場合、ウォーターポンプシャフトのギヤがプラスチック製で、このギヤにクラックが入る(ひび割れが生じる)トラブルが多いようです。オークションで入手したこのエンジンの場合、幸いにもこの部分にクラックが入っていませんでした。
このプラスチック製ギヤは、見るからに新しく変色していないため(注釈:ウォーターポンプシャフト付近にある別のプラスチック製ギヤは黄色く変色しています)、前オーナーがオーバーホールした際に新品交換されたと思われます。ギヤに損傷がないため、交換や加工をせずにこのまま再利用します。
2ストエンジンオイル用オイルポンプ
2ストロークエンジンオイルをキャブレターインシュレーター(クランクケースとキャブレターを結合するためのゴムと金属で構成されているパーツ)に送り出すためのオイルポンプは、2ストエンジンにとって非常に重要なパーツです。もしこのオイルポンプが故障してしまうと、すぐにエンジンが焼き付いてしまいます。
目視で確認した限りですが、このオイルポンプはオイルのにじみがなく、可動部分はスムーズに動作しますので、交換や加工をせずにこのまま再利用します。
クラッチアウター
クラッチアウターは、クラッチフリクションディスクやクラッチプレートと触れ合う部分(注釈:画像内の赤色破線部分)が消耗すると段差が生じてしまいます。
段差が生じると、クラッチを切ろうとした際にクラッチフリクションディスクとクラッチプレートがスムーズに移動しづらくなります。
その結果、クラッチが適切に切れなくなったり、クラッチを繋ぐ際にギクシャクしてしまいます。
このクラッチアウターの該当部分には、若干擦れた跡が付いていますが大きな段差が見られないため、交換や加工をせずにこのまま再利用します。
クラッチプレッシャープレート
クラッチプレッシャープレートの平面部分(注釈:画像内の赤色破線部分)はクラッチフリクションディスクと触れ合うため、長期間使用すると段差が生じます。
ここの段差が大きくなると、クラッチフリクションディスクとクラッチプレートに対して適切な圧力が掛かりづらくなるため、クラッチが滑るなどの不具合が生じやすくなってしまいます。
このクラッチプレッシャープレートの場合は、まだ大きな段差が生じていないため、交換や加工をせずにこのまま再利用します。
リードバルブ
リードバルブは、キャブレターで生成した混合気をクランクケース内に一方通行で送るための弁です。リードバルブが消耗すると、リードバルブ先端(注釈:画像内の赤色破線部分)の密閉性が低下してしまいます。
その結果、クランクケース内で混合気を圧縮する際に、混合気がクランクケース内からキャブレター側に逆流してしまうために圧縮比が低下し、エンジンのパワーダウンや不調などの不具合が生じやすくなってしまいます。
このリードバルブに破損は見られず、リードバルブ先端も密閉性も問題なさそうなため、交換や加工をせずにこのまま再利用します。
キャブレターインシュレーター
キャブレターインシュレーターは、クランクケースとキャブレターを結合するためのゴムと金属で構成されるパーツです。
インシュレーターのゴム部分がひび割れすると、ひび割れした所から空気を吸い込むため(二次エアを吸い込むため)アイドリングが不安定になるなどの不具合が生じてしまいます。
このインシュレーターのゴム部分にひび割れは見つからないため、交換や加工をせずにこのまま再利用します。